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Vol.2「愛しさと切なさと心強さと」
1998.06.07〜日本ダービー/キングヘイロー&福永祐一
武豊をダービージョッキーにしたスペシャルウィーク
Carrot Lunch Photo Service
1998年6月7日、東京優駿。
今年、若干21歳の一人の青年が初めてのダービーを迎えた。
彼の名前は「福永祐一」
彼の父親はかつて「天才ジョッキー」と呼ばれていた。
数々の偉大な成績を残しながら、落馬事故で突然ターフから去ってしまう。
父が馬から落ちた瞬間、彼のターフスピリットは何処へ行ったのだろうか。

彼のスピリットが息子である祐一の元に乗り移っていた事が分かったのは、彼が騎手として父と同じ歩みをした時だった。あまりにも鮮烈な初騎乗初勝利、才能と努力と運が見事重なって、1年目で頭角を現した。 それからも順調に勝ちを積み重ね、そして出会うべくしてこの馬に出会った。キングヘイロー。昨年重賞初勝利をし、その後も着実に実力を積み上げ、いよいよ初のG1勝利が目の前まで見えてきた、はずなのだが……。

今年のダービーは、皐月賞馬セイウンスカイと横山典弘、スペシャルウィークと武豊、そしてキングヘイローと福永祐一の三つどもえの戦いと言われていた。周りがこぞって「3強」とあおっているのを見て、当人たちはどう思っていたのだろうか。祐一は「最年少などと言われることはあまり気にしてません」とは語るものの、実際はかなり意識をしていたのかも知れない。今思えば。
それでも私は彼の潜在的な力を信じて、キングヘイローを本命にした。ここま で順調に調整しているのを見て、これは3強のどれかが入れば確実、と思ってボックス買い、そしてキングヘイローとセイウンスカイの単勝を買った(しかし都合が悪くてWINSまで行かれなかったので、友人に頼んだのだが(^^;)。馬券の購入依頼を済ませた私は、ドキドキしながらTVの前に座った。何回か競馬場に足を運んだ事があるが、まだG1は生で見たことがない。しかしそれでもダービーの雰囲気はTVを通してもリアルに感じた。

いよいよレーススタート。ところがここで思いがけない場面を見た。
何と福永のキングヘイローが先頭に立ってしまったのである。おいおい、今から前に出て大丈夫なのか、そう思ったのは私だけではないだろう。それをセイウンスカイがぴったりとつけ、スペシャルウィークは中団をキープしている。
想像していたレース展開が既に崩れているのを見て、不安な予感がしてきた。
直線に入り、案の定キングヘイローがずるずる下がってきた。
それを待っていたかのようにセイウンスカイが先頭に立ち、満を持してスペシャルウィークも出てきた。さぁ一騎打ち!と思うや否や、スペシャルウィークが一気に抜き去り、飛び出してきた。あとはスペシャルウィークと武豊の独り舞台だった。彼らはそのままゴールを駆け抜け、次いで大穴ボールドエンペラー。3着はダイアスペリアー、セイウンスカイは4着。そして、キングヘイローは18頭中14着に終わってしまった…。

ダービージョッキーになった武豊が歓喜の嵐に包まれている姿を、福永祐一はどんな気持ちで見ていたのだろうか。
彼にとっての初めてのダービーはほろ苦いものに終わった。最年少ダービージョッキー誕生を夢見ていた私にとっても、残念な結果だった。
しかし、この経験は彼を更に成長させるだろう。
ガックリしながらも、自分に言い聞かせながらはっきりと敗因を語る彼の口調には、いつまでも落ち込んではいられないという思いが感じられた。 豊も最初のダービーは無惨な結果に終わった。それから何度も挑戦し続けたが、 あと1歩届かずに終わっていた。10度目の挑戦でついにダービージョッキーになることが出来たのである。 祐一はこれからもキングヘイローとクラシック制覇に向けて更なる走りを繰り広げる事であろう。そして3強から1強となってしまったスペシャルウィークを倒す事によって、ダービーの無念を晴らしてくれることが出来たら、この負けも無駄にはならないはずだ。

あれから1ヶ月経ち、クラシックを戦ってきた馬達はそれぞれの夏を過ごす。
放牧に出して英気を養う馬、夏競馬に出て立て直す馬、トレーニングセンターに残る馬、この暑い夏を乗り切った後、秋には彼(彼女)たちはどれだけ成長して私達の前に姿を見せてくれるのか、期待せずにはいられない。
Last Update:1998/07/01
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