2016年のプロ野球シーズンが終わりました。
今年、日本シリーズを制したのは…
北の大地で「爆ぜて」、日本一、いや宇宙一になった
北海道日本ハムファイターズです!
日本シリーズが終わって数日経ち、いろいろと感じた事があるので、振り返ってみたいと思います。
開戦前の予想
今年のレギュラーシーズン優勝は、セ・リーグは広島東洋カープ、パ・リーグは北海道日本ハムファイターズでした。
カープは独走状態で走り続け、9月半ばで優勝を決めたのに対し、ファイターズは前半戦はホークスが独走状態だった11.5ゲーム差からひっくり返して、逆転優勝しました。
クライマックスシリーズはセもパも見応えがあった展開でしたが、最後に勝ったのはカープとファイターズと優勝チームの対決になりました。
その時点でシリーズ予想を考えたときは、ファイターズの4勝2敗かなぁと思ってました。
昨年まで連覇し、今年も前半戦強かったホークスを倒したという底力と、大谷翔平の存在が大きいということでした。
一方カープは、CSは地の利を生かした勢いで勝ち上がりましたが、優勝してから空いているのと、25年ぶりの日本シリーズで選手たちが萎縮するのではと思ったからでした
しかし18日、この投手の「引退表明」で、雰囲気が変わりそうな感じがしてきました。
黒田博樹投手の現役引退表明。
黒田は昨年のシーズンが終わったとき、現役続行か、引退かを熟考した末、現役続行を決め、今年は日米通算200勝達成、10勝と二桁勝利を飾りました。そしてリーグ優勝を決めた日の先発であり、胴上げされた時には男泣き。
その黒田が、シリーズが始まる直前に引退を表明した事で、カープ全体が「黒田を日本一に」という雰囲気に変えていったように見えました。
それを感じた私は、4勝2敗ではなく、4勝3敗でファイターズに予想を変えました。
SNSに予想をアップしませんでしたが、開催初日の朝、Instagramにこう書きました。
そう、ファイターズにも今年限りで引退する選手がいます。
武田勝投手。
2005年のドラフトで入団後、ルーキーイヤーの2006年、ファイターズ日本一に貢献し、以来左腕投手で主力としてチームを支え続けていきました。ここ数年勝ち星が少なくなり、引退を決意しましたが、その引退会見で
「俺のために優勝しろ」
と選手たちに励まし、優勝が決まり引退セレモニーでは
「俺のために日本一になれ」
と激を飛ばした勝さん。更にはポストシーズンからは打撃投手として選手たちを支え続けました。
それぞれの思いを持ち、シリーズが始まりました。
第1戦、2戦:地の利
第1戦はカープがジョンソン、ファイターズが大谷翔平。
大谷が投げるならファイターズが勝てる。そう思った人は私だけではないはず。ファイターズファンだけでなく、多くの人達がそう思っていたのではないでしょうか。しかし、結果は、カープ勝利でした。
この日の試合をTVで見ていたのですが、大谷の調子がいまいちな印象を受けました。2回裏にはランナーが溜まった状態で予想しえないミスがバッテリー中心で起こり、カープが先制。大谷はランナーを出しつつも投げ続けてましたが、松山、エルドレッドとホームランを打たれて敗戦投手になってしまいました。
続く2戦は増井が先発。中盤に抑えから先発に転向してから勝ち続け、優勝の立役者の一人になった増井でしたが、6回に4点打たれて降板。打線も1点しか取れず完敗してしまいました。
この2試合を見ている限りでは、やはりカープの「地の利」が大きかったようにも見えました。声援の大きさが半端ない、更には1戦目は雨が降っていたのが慣れていたというのも感じました。
まとめてみると「地の利を活かして勝ったカープ、普段の野球ができなかったファイターズ」がはっきりと感じた広島2連戦でした。
第3戦、4戦、5戦:転機からの勝利
1日おいて札幌での3連戦が始まりました。
広島では普段の野球ができなかったファイターズ、札幌に戻って本来の野球が出来るか。
その中での注目が、引退表明した黒田博樹が第3戦に先発するということでした。
なぜ、広島での1、2戦ではなく、第3戦なのか。
ジョンソン、野村と今年大活躍した投手で勢い付けるというのもあったと思いますが、大谷翔平投手がDHで打席に入るからというのも理由だと思います。交流戦では対戦したことがない黒田と大谷。このシリーズで初めて対戦することになるとは誰が予想したことでしょうか。
結果は第1、2打席と大谷がヒットを打ち、第3打席では黒田が大谷を抑えました。この後、足がつって降板となり、結果的には黒田が最後に対戦した相手が大谷になりました。
この時点ではカープがリードしていたのですが、8回裏、大谷が敬遠気味の四球で出塁後、中田翔が逆転タイムリー。9回表に一時同点に追いつかれてしまいましたが、延長10回裏、大谷が見事にサヨナラタイムリーを打ち、シリーズ初勝利を飾りました。
黒田との対戦、サヨナラの立役者、この日の試合は大谷を中心に回った試合でした。
第4戦はカープが4回に1点先制、しかし6回に中田がホームランで同点。そして8回にレアードが2ランホームラン!
寿司パワーを見せつけて見事にファイターズが勝利、対戦成績を2勝2敗に戻しました。
第5戦。勝ったほうが王手になる試合は、カープが1回に鈴木誠也のタイムリーで1点先制。その後は膠着した展開が続きましたが、7回裏に岡広海の犠牲フライでファイターズが同点に追いつきました。しかし、お互い点が入らないまま9回裏に。
2アウト満塁で西川遥輝が劇的なサヨナラホームランで勝利し、ファイターズが王手になりました。
札幌での3戦は緊迫した試合が続きましたが、ちょっとした事がきっかけでファイターズに流れが変わり、勝利へと導いていったように見えました。
特に第5戦。
西川が出る前の打席で、岡がデッドボールを受けたときは両チームがベンチから出てきて緊迫する場面がありました。それがマウンドにいた中崎に少なからずの影響を与えてしまったのかもしれません。西川がホームランを打ったときのガッツポーズ、本当に輝いてました。
この3戦はそれぞれに「転機」があって、そこからファイターズの勝利へ繋がったように見えました。
第6戦:決着
広島に戻って第6戦。それまで大方の予想では大谷が再び先発になると見られていたのが、予告先発に上がったのは増井(カープは野村)でした。
この意図は一体?
カープが勝利して逆王手になった場合、第7戦で黒田が再び登板することを考え、今度は黒田対大谷がマウンドで対戦するというのを考えた人が多かったのではないでしょうか。私も一瞬それを考えて、ここはカープが勝って…と思いかけましたが、札幌で見せた勢いを止めてしまいかねないから、この試合で決めてほしいと思い直しました。
試合は点の取り合いになりました。1回にファイターズが岡の内野安打で先制も、2回裏にカープがファイターズのミスに乗じて同点、勝ち越し。
ファイターズが4回に田中賢介タイムリーで同点、西川勝ち越しタイムリーで4対2に。しかし、カープが5回に丸がソロHRで1点差、6回には下水流が内野安打で同点に追いつきました(でも、ここで中島卓也が抑えたことで勝ち越しにならなかったのが大きい)。
4対4のまま、試合は8回表へ。カープはセットアッパーとして活躍したジャクソンが登板。この感じだと同点のまま延長かなぁと思ったら、2アウト後、西川四球、中島、岡と連続ヒットで2アウト満塁に。打席には中田翔が入りました。
と、ここでネクストバッターズサークルに入ったのは、5番に入っていたバース投手に変わって、大谷が立っていました。ここで大谷が出るのか!と思い、中田しっかり打てよーと思いながら見てたのですが、この場面に動揺していたのは、マウンドにいたジャクソンでした。ストライクが決まらず、押し出し四球でファイターズが勝ち越したのでした。
で、これで大谷が…と思ったら、引っ込んでバースが打席に。投手だからなぁ…と思って見ていたら、なんとタイムリーで追加点!思わず、ランディ・バースと呼んでしまいそうなバースの活躍にビックリでした。
そして、トドメは、寿司屋レアードがグランドスラム!
この回だけで6点、ファイターズの勝利を確信しました。
大谷は打席に立ちませんでしたが、存在だけで相手にプレッシャーを与える、すごい存在ということを改めて感じました。
バースが8回までカープ打線を抑えて、いよいよ9回裏。
CS最終戦のように大谷がストッパーで登板かと思っていたら、最後を託されたのは、今年中継ぎで支えた谷元でした。意外でしたが、考えてみれば今年のファイターズを支えた要因の一つに谷元をはじめ、宮西、バースといった中継ぎ陣が充実していたことがあげられます。ならばここで最後を託すという栗山監督の思いが伝わりました。大谷だけでなく、チーム全体の力が結集された場面が最終回のマウンドに凝縮されていたように感じました。
そして…
日本一が決まった瞬間、不思議な感情が出てきました。
リーグ優勝は現地で見ていたので本当興奮状態だったのですが、日本一のときはやったー!という思いと、これで今年のプロ野球が終わってしまうんだなぁという寂しい気持ちが交差してました。
栗山監督は8回胴上げされ、武田勝投手が3回胴上げされました。
見ていてジーンときてしまいました。
優勝が決まって…
まずは優勝が決まった翌日、Instagramにアップした写真と文章です。
ファイターズが前回日本一になった2006年は、ダルビッシュという絶対的な投手がいて、この年に引退する新庄剛志がいた。その中で勝ち上がって優勝し、CSも勝ちあがって、セ・リーグ覇者のドラゴンズと対戦しました。当時はまだファイターズファンではなく、ドラゴンズを応援するために札幌ドームで」第4戦を見に行ったのですが、ファイターズ打線が序盤から勢いで点をいれての勝利に脱帽したのが今でも心に残ってます。第5戦で日本一になったのですが、その結果を知ったのは羽田に降り立ったときでした。
あれから3度、リーグ優勝しましたが日本一には届かず。前回2012年、日本一になれなかった時、栗山監督が「また忘れ物を取りに行きます」と行ってましたが、4年経って、忘れ物が戻ってきました、選手たちの手によって。
勝さんのために日本一になれましたね!
お疲れ様でした。
新たなスタート
一方、25年ぶりにリーグ優勝したカープは、32年ぶりの日本一には手が届きませんでした。しかし、2戦までの戦い方はカープらしかったし、札幌に行ってからは固さも感じたものの、試合が決まるまではファイターズと互角に戦っていました。
惜しかったのは、広島で黒田の最後の登板が見られないまま終わってしまった事でしょうか。
日本一になれなかったとしても、リーグ優勝したという事実は変えられないし、今年のカープが強かったという印象は色褪せないと思います。
来年にむけて、新たなスタートを切ってほしいと思います。
そして、黒田博樹投手。
いちプロ野球ファンとしてはもう一度マウンドに立つ姿が見たかった。それでも、第3戦での気迫溢れる投球を見て、凄さを感じました。
これからも何らかの形で野球と携わることと思うので、次のステップを楽しみにしてます。
お疲れ様でした…。
ファイターズも既に来年に向けて始動しています。
シリーズが終わったばかりですが、選手たちは鎌ヶ谷で練習を再開しました。大谷、中田といった主力選手もいます。優勝パレードやファンフェスティバル、更には侍ジャパンの強化試合と忙しい日々が続くけど、次なる目標といえる「連覇」に向けて新たなスタートが始まろうとしてます。
来年のファイターズはどんなチームになるか、期待せずにいられません。
と思いつつ、これから発売される日本シリーズ特集号でもう少し余韻に浸ろうと思う私です。