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Vol.7「A Dream Goes On Forever…」
1999.12.26〜有馬記念/グラスワンダー(前編)
有馬記念グラスワンダー
(C)NEPPIE(クリックすると拡大で表示されます)

グラスワンダーが2000年宝塚記念でのレースを最後に引退した。

グラスワンダー。1995年2月18日生まれ。
美浦・尾形充弘厩舎所属。主戦騎手は的場均と蛯名正義。生産地アメリカ。父シルヴァーホーク。母アメリカフローラ。母の父はダンジグ。
三歳時に新馬戦から京成杯3歳Sまで破竹の3連勝。そして断トツの1番人気で迎えた朝日杯3歳Sでは2着のマイネルラブ(後にあのタイキシャトルを破ったスプリンターS馬)に2馬身以上の大差でレコード勝ちをおさめた。

朝日杯3歳Sでのレコード勝ちを見て、グラスの強さに圧倒された人は多かったと思う。ところがこれからという時に骨折してしまい、長期休養に入ってしまったのは今でも悔いが残る。グラスの主戦だった的場均騎手にとっても、残念だった出来事だろう。4歳のNHKマイルCではもう一頭のお手馬であるエルコンドルパサーに騎乗し、見事マイルCを制覇した。もしグラスが完調でマイルCに出ていたら、的場はどちらに乗っていたのだろうか。近いうちに苦しい選択を迫られる事は誰の目からもわかっていた…。

10月、毎日王冠。グラスワンダーはけがを克服してレースに復帰した。待ち受けていたのはマイルCの覇者、エルコンドルパサー。そして、サイレンススズカだった。4歳のマイル2頭が、金鯱賞と宝塚記念を逃げたまま制覇した快速馬に挑戦する。東京競馬場には、15万人もの人が集まり、G2のファンファーレに割れんばかりの手拍子が鳴ったという。このレースが今でも「伝説のG2」の一つとして名を連ねているのもよくわかる。注目された的場は結局グラスワンダーに騎乗する事が決まり、エルコンドルパサーには蛯名騎手が手綱を取ることになった。結果はサイレンススズカの大逃げに2頭が屈した形となった。グラスワンダー5着、エルコンドルパサーは最後まで粘ったが2着。2馬身以上離して圧勝したサイレンススズカは、武豊とともにウィニングランしてファンの声援に応えていた。(これが最後のウイニングランになるとは…)
エルコンドルパサーと蛯名のその後の活躍ぶりはここに書くまでもないだろう。
毎日王冠でサイレンススズカの逃げ足に負けたグラスは、次走のアルゼンチン共和国杯でもまさかの凡走をしてしまった。的場にとってこの選択は正しかったのか。その答えは、年末の有馬記念まで待たなければならなくなった。

有馬記念。二冠馬セイウンスカイ、天皇賞馬メジロブライト、ラストランとなるエアグルーヴ、エリザベス女王杯でエアグルーヴを敗ったメジロドーベルなど、そうそうのメンバーが集まった。その中でのグラスワンダーの評価は、4番人気に落ちていた。1番人気はセイウンスカイ。
中山での直線を走っている時、彼は何を思いながら走っていたのだろうか。あの時直線に入った時、彼は去年の冬の感触を思い出したように見えた。先行するセイウンスカイのペースに乗りながら、力をためていた。そして直線で一気にスパートをかけたグラスは、すぐさま先頭に入りそのままゴール。その瞬間、朝日杯での怒濤の走りを思い出し、彼の秘められた強さを感じてしまった。「グラスワンダーは、本当の力をまだ出してない。5歳になったら、彼は凄い馬になる…」

1999年、京王杯SCでのゴール前
Carrot Lunch Photo Service

私は1999年の京王杯SCで初めてナマのグラスを見た。パドックでのグラスの姿に、G1馬の貫禄を感じた。勝って当たり前、というオーラを放っていた事を今でも忘れられない。このレースではマイルCSを制覇するエアジハード、桜花賞馬ファレノプシスらを抑えて圧勝した。
しかし、安田記念では前走2着でグラスに屈したエアジハードに鼻差で破れてしまう(奇しくもエアジハードに騎乗していたのも蛯名騎手だった)。圧倒的な人気でありながら最後にハナ差で交わされてしまったのは何故だろう?前走の反動?完調ではなかったというだけ?本当に強いの?いろいろと敗因を考えているうちに、宝塚記念が来てしまった。

第40回宝塚記念。毎日王冠で対戦したエルコンドルパサーは、競馬の舞台をフランスに移し、有馬記念を一緒に走ったセイウンスカイ、メジロブライトは出走しなかった事で、このレースはダービー馬スペシャルウィークとの一騎打ちとなった。初対決となるスペシャルウィークに対し、グラスはどういうレースをするのか、果たしてどちらが強いのかという事に人々の興味を誘った。私もTVで見たのだけど、結果はグラスの強さをまた改めて思い知らされた格好だった。杉本清アナの「相手をこれと決めた時の的場は怖い!」と言った実況がまさに再現されていた。彼がライスシャワーが菊花賞でミホノブルボンを、天皇賞でメジロマックイーンを破ったときの様に…。
秋。毎日王冠でのグラスワンダーは勝つには勝ったが、2着のメイショウオオドウに僅差となってしまい、次走のジャパンカップに向けて不安を残した。その後、左脇腹筋肉痛を起こし、JCを回避してしまった。秋の天皇賞を快勝したスペシャルウィーク、エルコンドルパサーを破った凱旋門賞馬モンジューなど凄腕の馬が集まる最強のレースでグラスの姿が見られなかったのは残念だった。幸い症状は軽く、有馬記念に向けて調整される事になったのでほっとしたのだけど…。

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参考文献:週刊Gallop臨時増刊「週刊100名馬 Vol.89:グラスワンダー」

Last Update:2000/8/19
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